ストレートコーヒーについて


1974年8月1日コーヒー党の機関誌「珈琲共和国」より
kyowakoku1974-8
 最近コーヒー専門店で、ストレートコーヒーと称して産地別にコーヒーを分けて飲ませることが、コーヒー専門店としての条件のようになっています。
 ところが、このストレートコーヒーの分類の仕方が、見方によっては非常にナンセンスなことと言えるようです。
 コーヒーの主産地である中南米の地図を開いてみますと、中米ではメキシコ、グアテマラ、エルサルバドル、ホンデュラス、ニクワラガ、コスタ・リカ、パナマなどという国は、メキシコを除いて国自体も小さく、国境も隣接して区分する必要がないように見えます。
 同様にベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルーなども南米において大体同じような場所にあります。
 また、ブルーマウンテンを産出するジャマイカにしてもキューバ、ハイチ、ドミニカなどと同じような所にあります。
 コーヒーは元来、品種と言えるようなものはアラビカ、リベリカ、ロブスタの3種で、栽培条件や精製方法の差によって生豆の味が違うわけですから、気象条件や栽培法や精製法に大きな差がない限り、似たような地域で収穫されるコーヒーの味は、大体似たりよったりということになります。
 以前のように栽培法が国によって違っていたころは、国によって随分と違った味のコーヒーが産出されたのですが、最近では品種の交配や栽培法の進化(?)などで、だんだん差がなくなってきています。
 ですからストレートコーヒーの分類も、中南米の水洗式コーヒー(例=コロンビア)、中南米の自然乾燥式コーヒー(ブラジル)、カリブ海高地産水洗式コーヒー(ブルーマウンテン)、インドネシア産(マンデリン)、アフリカ産(キリマンジャロ)、西南アジア産(モカ・マタリ)などのアラビカコーヒーとか、インドネシアのロブスターコーヒーぐらいの大まかな分類以外は意味がないように考えられます。
 この分類にしても、最も品種の良いものを基準にしての話ですから、ただその土地でとれたからといって、カンジンの品質のことを考慮しなければ無意味なことになってしまします。
 本当に専門的な立場に立って考えれば、産地にこだわらずどんな性質のコーヒーであるかを問題にすべきであり、今のような産地別にストレートコーヒーを分類するなどということは、異国情緒を楽しむオアソビにしかすぎないといえましょう。