コーヒーの社会的効能 珈琲は世界に平和をもたらす
1975年2月1日コーヒー党の機関誌「珈琲共和国」より
一年中で一番のんびり過ごすことのできるお正月も終り、我々の周辺には再び騒々しさが戻ってきました。
特に今年の2月は、例年になく寒さも厳しそうで、不況の嵐とあいまって一層冷々とした心持がします。こんな時に一杯のコーヒーが我々の心をほのぼのと暖めてくれると、何だか救われた気持ちになるものです。
先日開かれた日本フランチャイズチェーン協会の本年度第一回月例研究会で、ロケット工学の第一人者であり、未来学の権威でもある糸川英夫博士が、「現代は非常に感情的な時代であり、論理を感情が否定する時代である」ということを話されましたが、そういういわばヒステリックな時代がエスカレートしていくと感情的な世相は益々その感情度を高めて終局的には人間の文化そのものまで破壊してしまいかねないものになってくるそうです。
昨年、三菱重工ビルの爆破に代表される一連の爆弾騒ぎにしても、論理では考えることの出来ない非常に感情的な行動のあらわれといえるそうです。そして、この感情的な行動は、感情的な行動にその感情が刺激され更にエスカレートする傾向にあり、この調子でエスカレートすると最後には原子爆弾にまで到達しかねないということです。
今までにアメリカ当局が発表しただけでも、ヒロシマ級の原子爆弾に換算して30発分のプルトニウムと濃縮ウランが盗まれており、公表されていないものを含めると50発以上の原子爆弾が地球上のどこかで製造可能の状態にあるということです。しかもプルトニウムと濃縮ウランさえあれば、高校生程度の理科の知識で原子爆弾が作れるということですから、全く恐ろしいことだと思います。おまけにその原子爆弾が論理的な行動をしないで感情的に行動する人間の手にわたったらと考えるとゾッとする思いですが、すでに彼等の手に渡っている可能性は充分にあるということです。
こんなことを考えていくとなんだかこれからの世の中が恐ろしく絶望的な世の中になっていくような気がしますが、アメリカの学者なども今、真剣に社会を感情的な構造から冷静かつ論理的な社会構造に変えることを研究しているそうです。
糸川博士の話によると、その冷静化に役立つものはまず筆頭がマリファナだそうです。しかし、まさか麻薬に類するものを奨励する訳にはいかないでしょうから、次に効能のあるものということになると、酒、タバコ、コーヒーということになるそうです。
こうしてみると、多少手前ミソにはなりますが、害が最も少なく、かつ手軽であるのは、断然コーヒーということになる訳で、今まで無駄の代名詞のごとくいわれていたコーヒーが、実は世界を破滅から救う救世主にもなりかねないとは実に楽しい話になります。
これで、コーヒー飲みの皆さんも、我々コーヒーを業とする人種も大っぴらにコーヒーを楽しみ商うことができるという訳です。
今年も色々といやな事柄が続きそうですが、我々コーヒー党はひとつゆったりとコーヒーを楽しんで、心を静め、大いに世界の平和のために貢献しようではありませんか。