コーヒー党宣言  コーヒー豆にもJAS規格を


1974年5月1日コーヒー党の機関誌「珈琲共和国」より
kyowakoku1974-5-150-240

業界の改造には まず正当なルールの確立から

 従来喫茶店などで飲まれる特殊な飲み物であると考えられてきたコーヒーも、最近では一般の家庭にどんどん普及し、日本茶のようにとはいかないまでも、きわめてポピュラーな飲み物となってきました。
不明朗な☆プライスカード ところが、このポピュラーな飲み物となったコーヒーの販売方法について、私は非常に合点のいかない点があります。
それは、家庭用のコーヒーの最大の供給源であるデパートの売場などで、コーヒーの種類と値段を提示してあるプライスカードに、そのコーヒーの品質に関する表示が正当にされていないということです。
率直にいって、私自身もついこの間までそのことに気がつかなかったのです。
私の主宰しているぽえむチェーンでは今年の2月からメニューを改訂しましたが、それを行なうについてコーヒー以外のメニューとして生ジュースを加えようと考えました。
 そこでメニューに対応するマニュアルを作ることになって、いろいろ指定材料を調べたところが、ジュースの分野にはJAS規格により100パーセント天然果汁でなければジュースと呼べないという規定があり、グァバのように水を加えて浸出しなければならないようなものは、100パーセント果汁を原料としてもネクターと呼ばなければならないなどという厳しい規制のあることを知りました。
そこで、ぽえむのメニューでは天然果汁という表現をとった次第です。
それに比べて、コーヒー豆の小売に関してはJAS規格のような制約はありません。ですから、40パーセント以上ウガンダやアイボリーコーストなどの粗悪品を混入して、申し訳程度のコロンビアを混ぜてコロンビアミックスとして売っても何らの規制を受けないわけなのです。
私共のように、年中コーヒー豆を見て暮らしている者にとっては、デパートやスーパーのコーヒー豆売場でチョット見れば、プライスカードの表示と中身の違いなどはすぐにわかります。ブルーマウンテンと称してメキシコ産のアラビカ種を売ったり、サルバドルが安いとなるとコロンビアのケースにペルーが入っていたりすることは、この業界では珍しくありません。
私は、いつもこのようにコーヒー業界の内部のことをあからさまにするので、コーヒー業界の人たちからは憎まれて意地悪をされたり、悪いデマを飛ばされたり、コーヒー商工組合には加盟させてもらえそうになかったり、年中村八分にされています。
しかし、いくら村八分にしたところで、所詮はコーヒーを選ぶのは消費者ですから、消費者をあざむくような商売が永続きするわけがありません。
コーヒー豆の☆正しい表示を このことは、必ずしもコーヒー業界の人間が全部いいかげんだというのではなくて、親しくしているキャラバンコーヒーの人たちやドトールコーヒーの鳥羽社長、第一コーヒーの高橋専務、京都ワールドコーヒーの西村社長、それにユニカフェの大武重役など、みんなコーヒー業界をりっぱなものにするべく真剣に考えています。
このような流れも次第次第に大きくなってきているのですから、業者や通産省のお歴々も、少しは私のいうことに耳を傾けて、コーヒーにもJAS規格を適用する位のことはしてもよいと思います。
 お恥ずかしいことながら私共ぽえむで発売しておりますブレンドコーヒーも、配合されているコーヒー名が表示されておりません。これはたいへん不都合なことなので、早速加盟店にブレンドに配合されているコーヒー豆の品種を表示するように指示いたします。
もっとも配合比率については、コーヒー豆の荷口によって味に差があるため一定には表示できませんが、JAS規格に則って配合率の高いものから記入することにしたいと思います。
私は、もしこの表示が業界へも広がり、JAS規格の適用までいけば、コーヒー業界はより健全なものとなり、より健全なものとなり、よりいっそう発展すると思うのです。