コーヒーの色はコーヒーブラウンか?ワインカラーか?


1975年4月1日コーヒー党の機関誌「珈琲共和国」より
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 日珈販で出している「コーヒーの楽しみ方10章」の第7章に「上等のコーヒーは、必ず上等の赤ブドー酒のように赤みを帯びて澄み切った透明な色をしています。珈琲ブラウンなどといって、コーヒーは褐色のように思われていますが、あれは濁ったときの色です」と書いてありますが、それについてある読者の方から、コーヒーはあくまでコーヒー色をしているからコーヒーブラウンが正しくて、赤ブドー酒の色はワインカラーであり、コーヒーがワインカラーというのはおかしい。現に、自分がいつも飲んでいるコーヒーはコーヒーブラウンであり、とても美味しいコーヒーであるというお便りを頂きました。
 そこで今回は、ひとつ、コーヒーの色について少々科学的に考えてみたいと思います。
 まず、コーヒーという飲物が、珈琲の木の果実の中にある種子を焙煎したものであることは皆さんご承知のことだと思います。
 ですから、コーヒーの色といっても、本来コーヒーが有しているという色ではなくて、種子が焦げた結果として褐色、或いはワインカラーの色がつくというのであることも明白な事実です。
 とすると、コーヒーブラウンかワインカラーかという論争の焦点は、ロースティングの度合いによって変わってくることになり、話がかみ合わなくなってしまいます。
 ただいえることは、ワインカラーにしろコハク色にしろ、不透明になってくると、白っぽく見えてみて、コーヒーブラウンと呼ばれる色に近くなってくるのは事実です。
 コーヒーの成分に関する科学的な考察を述べた本によりますと、その不透明となる原因については、次のようなことが考えられると書いてあります。
 第一は、コーヒーの種子(コーヒー豆)からコーヒーを抽出する場合、抽出方法が間違っていて、可溶性物質だけでなく不溶性物質の微粒子が液中に混入して、不溶性物質の微粒子が液中に沢山浮かんでいるために、光が反射して液全体が白っぽく見える場合。
 第二は、コーヒー液中に抽出された可溶性物質のうち、蛋白質やタンニンが酸化して不溶性物質に変わり、液中に不溶性微粒子として浮かんでおり、それが光を反射し液を白く見せている場合。
 以上二つの場合が考えられます。
 いずれにせよ、コーヒーの色の透明度が低いということは、美味しさに不要な物質が沢山含まれているということになります。
 こういうことは、コーヒー豆の粉砕の際に微粉が多量に出る場合とか(コーヒーミルが悪い)、コーヒーの粉を細かく挽きすぎた場合に第一の場合として起こり、また、コーヒーを煮沸したり、抽出時間や抽出温度が高すぎた場合に、第二の場合として起こりがちです。
 特に第二の場合は、コーヒーサイホンでコーヒーを淹れる場合に起こり易いので注意が必要です。
 とにかく、コーヒーがワインカラーか?コーヒーブラウンか?は別にして、色が濁って不透明なものは古いか、間違った取扱い法によったコーヒーであるという結論になりそうです。